ご挨拶

 我が国では高齢化および生活習慣の欧米化に伴い、心不全罹患症例数は増加の一途をたどっております。特に左室収縮能の保たれた心不全(Heart Failure with Preserved Ejection Fraction: HFpEF)症例数が増加しており、心不全罹患者数の約半分を占めることが明らかになってまいりました。ところが困ったことに左室収縮能の低下した心不全(Heart Failure with Reduced Ejection Fraction: HFrEF)に対する治療法のエビデンスは蓄積されておりますが、HFpEFに関しては未だ有効な治療法が確立されていないのが現状です。
 昨年、糖尿病治療薬であるSGLT2阻害薬が糖尿病の有無に関わらずHFrEFに対して有意な心血管イベント抑制効果があることが示され、標準的心不全治療を受けているHFrEF患者への追加治療としてSGLT2阻害薬の一つであるダパグリフロジン投与が我が国でも保険診療として承認されました。また、本年SGLT2阻害薬のエンパグリフロジンがHFpEFに対しても心血管死または心不全入院を有意に抑制することが報告されており、HFpEFの治療に新たな展開が見え始めております。しかしながら、SGLT2阻害薬が、HFpEFの生理学的バイオマーカーという観点からその病態を真に改善するか否かは未だ明らかになっていないのが現状です。
 近年、興味あることにSGLT2阻害薬のトホグリフロジンは、2型糖尿病患者を対象とする臨床研究において、心エコーで求められた左室拡張機能の指標であるE/e’を有意に低下させることが明らかになりました。また、別の研究では、トホグリフロジン投与による3-ヒドロキシ酪酸とアセト酢酸の増加がE/e’の低下と相関すると報告しており、トホグリフロジンによるケトン体増加が左室拡張機能改善に寄与することが考えられております。
 そこで本研究では、糖尿病を有するHFpEF症例においてトホグリフロジンが左室拡張機能を改善させるか否かについて、心エコーでのE/e’を指標に検討することといたしました。本検討により糖尿病を有するHFpEFに対するSGLT2阻害薬の効果が、理論的に解明されることが期待されますので、本研究の成功に向けて、皆様のご支援・ご協力を賜りたく存じます。諸事よろしくご高配賜りますよう心よりお願い申し上げます。

国立循環器病研究センター 客員研究員
大阪大学医学系研究科 招へい教授
医療法人錦秀会 阪和記念病院 統括院長・総長
北風 政史

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